<2-8-12> 第47回日米学生会議日本側報告書
 

編集後記

 

大変長らくお待たせいたしましたが、ようやく、ここに、第47回日米学生会議日本側報告書をお届けすることができました。この一冊の本に刻まれた、78名の学生の熱い息吹を感じていただければ、幸いに存じます。
私はよく、「JASC=自己創出系」ということを言います。日米学生会議(JASC)というのは、代々の実行委員が、創始時から綿々と受け継がれてきた根本理念を守りつつ、その理念の上に、時代に適応した、あるいは、時代を先取りした会議を築き上げることで、成り立ってきました。JASCを生命体にたとえるならば、実行委員はDNAということになります。第47回実行委員は、第46回会議という親から産み出された受精卵の中の新しいDNAであったわけで、そこには第1回の会議からほとんど変わることなく遺伝されてきた情報がみっちり詰まっていました。しかし、生命体というのは、遺伝されたDNAだけで機械的に決定されてしまうような単純な存在ではありません。もちろん、DNAのはたらきは重要ですが、生命体は、DNA情報を発現させる段階で、柔軟に環境に適応し、個性というオリジナリティーを獲得していきます。「自己創出系」というのは、そういった生命体の特徴を表したもので、JASCの特徴もそこにあるのではないかと、私は思うのです。つまり、JASCの根本理念に基づきつつ、時代の流れにも敏感で、かつ、オリジナリティーを追求すること、それこそが、各回のJASCに課せられていることではないでしょうか。
第47回日米学生会議日本側実行委員10名は、創始時の理念を振り返って議論し、現代という時代に相応しい理念を模索し、そして、あらゆる面でオリジナリティーを追求しました。「日米で日米を考えるだけではなく日米で世界を考えよう」という発想のもと、APEC DAYを企画し、「単なる交流ではなく、成果を出すことを第一に考えよう」ということで、会議のシステムを見直し、「『学生だからこそできること』を追求しよう」ということで、大きな企画を多数打ち出しました。また、「連続講演会」企画を始めたり、準備活動を1ヶ月早めたり、「実施要綱」をはじめとする出版物の内容・形態を刷新したりするなど、47回のオリジナリティーを様々なレベルで存分に発現しました。この報告書も、以前とはかなり違ったものになっているというのは、お気づきの通りです。
日本側実行委員はみな夢追人であったと思います。話し合いを重ねているうちに、どんどん大きい方に話が進んでいく傾向がありました。JASCというのが、夢を実現することのできる場であるという確信のもと、どの企画も巨大化の道を歩んでいきました。「硫黄島訪問」の実現にも、この性格は大きく影響したわけです。しかし、企画が巨大化すると同時に、われわれは、膨大な仕事という現実的な問題を抱えることになりました。勉学や日常生活を犠牲にして、朝から晩までJASCの仕事に追われる日々が続きました。実行委員間で連絡を取りつつ、徹夜で仕事を進めたことも何度もありました。ミーティングや合宿は頻繁に行い、オリンピックセンター、あるいは、私の六畳二間のアパートで、夜通し議論しました。とにかく、われわれの頭はJASC一色だったわけです。1年前に経験していたこの怒涛のような日々を振り返ると、決まって、涙がこみ上げてきて、不思議な感情に襲われます。JASCが私にとってどういうものであったのか、未だに結論を得られずにいますが、われわれ日本側実行委員10名で共有した経験というのが、かけがえのないものである、ということは確かだと思います。この報告書で、78名の参加者の中の10名のみについての話を書くのは適切ではないかもしれませんが、どうしても書かずにはいられません。磯部美香、海老原憲、大保敦子、田中智子、土井洋平、藤本まどか、細野恭平、柳井哲史、山田通代、ついでに、高野利実も入れて、この10人に心より感謝し、その永遠の友情を誓いたいと思います。
「時代の創造 〜歴史に学び、理想の実現へ〜」というのは、われわれの思い入れの強い、47回会議の総合テーマですが、理想を実現させ、時代を創造していくのは、これからの私たちの仕事です。JASCは私たちに、それがけっして不可能ではないことを教えてくれました。私たちは、大きな夢と理想を抱きつつ、JASCの精神を忘れずに、それぞれの人生を歩んでいくことになると思います。第47回日米学生会議参加者78名の今後の活躍と、日米学生会議の永続、発展をここにお祈りいたします。
最後に、第47回日米学生会議の開催にあたって、われわれの活動を暖かく見守って下さり、多大なるご協力とご賛助を下さいました皆様に、重ねて御礼申し上げます。

  第47回日米学生会議実行委員会
日本側報告書編集責任者 高野 利実
(1996年4月)
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