「緩和医療のすすめ」(最新医学社、1998年12月)

 

書名 緩和医療のすすめ−がんと共に生きる−
著者 青木幸昌・中川恵一 編
本体価格 \2,800
送料 \310
発行年月日 1998.12.8
判型 四六
頁数 258
ISBN ISBN 4-914909-22-7
分類コード C3047
目次 第1章 がん治療のありかたと緩和医療
がんと死−高野利実
がん治療のありかた−岩瀬哲
がんの告知−青木幸昌
末期がんと周辺−中川恵一
第2章 がん治療における症状緩和治療の実際
進行期・末期がんにおける症状とQOL−岩瀬哲
根治治療からターミナルケアへの移行−中川恵一
緩和治療の必要性−青木幸昌
ホスピスケアと緩和医療−中川恵一
緩和医療の方法−青木幸昌
がんの各種症状とその発生機序・緩和治療の手法−中川恵一
末期がんの看護−広瀬寛子
末期がんの心理ケア−広瀬寛子
末期がんの栄養管理−高野利実
進行・末期がんの経済的問題−高野利実

末期がんでのセデーション−青木幸昌
東大病院における総合腫瘍病棟の挑戦−中川恵一
座談会 緩和医療とは−どういう医療をしたいか、してほしいか−

東大放射線科・総合腫瘍病棟の取り組みを中心に、幅広い意味での「緩和医療」のあり方を提示しています。ホスピスでの「終末期医療」というイメージを超えた、大学病院や一般病院でも自然に取り組めるような「緩和医療」がここにあります。

※ご注文は、最新医学社のホームページ(http://www.saishin-igaku.co.jp/)へ。



この本は、私が執筆に関わった最初の単行本です。発刊された1998年というのは、医学部を卒業して医者としてのスタートを切った年。私に与えられたテーマは、本書の冒頭に登場する「がんと死」でした。まだ学生だった私に、そんな重いテーマの執筆を持ちかけてきたのは、東大放射線科助教授(当時)の青木幸昌氏と講師(当時)の中川恵一氏でした。
「鉄門だより」編集長として、「医と死」というテーマに取り組み、いくつか文章を書いてはいたものの、まだ医療現場に接する機会も少なかった私にとっては、それは観念論でしかありませんでした。「私のような若造に何が書けるのか?」と悩みつつ、「死」をめぐる書籍を読み漁る日々が続きました。医師国家試験を終えてから、本格的に執筆を開始。何かの結論をまとめるというよりは、若造なりの視線での「答えのない思索」を率直に文章にしてみました。今から思うと、この経験は、医師としてのイニシエーションと言えるものでした。
できあがった原稿を最初に読んでもらったのは、研修医として初めて受け持った悪性リンパ腫のSさんでした。ベッドサイドを訪れるといつも、Sさんは、「高野さん、さあ座って」と椅子を差し出し、診察もそこそこにいろんな話をしました。観念論ではない、「生と死」の重みを感じる毎日でした。

そんな過程を経て完成したのが本書です。
私が書いたのは、
「がんと死」
・ 人が死ぬということ
・ 病院で死ぬということ
・ 生老病死
・ 人称と死
・ 日本人の死生観
・ がんで死ぬということ
「末期がんの栄養管理」
「進行・末期がんの経済的問題」
です。